「モテるけど結婚できない」37歳婚活女性の致命傷(東洋経済オンライン)
持ち合わせている条件は素晴らしいのに、結婚できない人たちがいる。それは、“動かない人たち”だ。
女性でいうと若い頃にモテた経験があり、声をかけてもらえるのが当然だと思っているタイプ。みなみ(37歳、仮名)が、まさにそれだ。
条件がいいのに結婚できない人の特徴
有名私大を卒業し、大手メーカーに勤める会社員で、年収は700万円ほど。スラリとしていて、身長は165cmあるので、どんな服でもおしゃれに着こなせる。顔立ちはタレント並みの美人なので、学生時代や20代の頃は、男性から声をかけられることが引きも切らなかった。
今も会社では、年配の既婚男性から食事や飲みに誘われることが多い。
いつも男性から言い寄ってこられる立場にいるからか、婚活で男性と対峙したときに、自分が好かれるための行動を取ろうとしない。相手をほめたり、ご機嫌を取ったりするようなことができないのだ。
お見合いでも、写真よりかなり見劣りするような相手が現れると、それだけで最初から無愛想な態度になる。
あるとき、お見合いした相手の相談室から、こんなお断りの理由が来た。
「お見合いのときに、チラチラと自分がしている腕時計ばかり見ていて、早く帰りたい様子がありありとわかったそうです。そちら様もお断りだと思いますが、こちらとしてもご縁を感じなかったとのことでした」
美人で経歴もいいので、お見合いも組める。そんななかでお付き合いに入る相手もいる。しかし、相手から誘われて当然だと思っているので、自分から誘ったりはしないし、LINEの返信も遅い。
こうしてみなみは、私のところでの婚活が1年経とうとしていた。先日面談をすると、「なんで決まらないのだろう。婚活することに疲れてきました」と言う。
「お見合いで結婚するのは難しいかなと、最近思っています。20代で出会っていたような素敵は人はもう結婚していて、いい人は残っていない。友達にも“いい人がいたら、紹介してね”と声をかけているんですけど」
そんななか、数カ月前に友達が主催した合コンで、見た目も性格もタイプの4つ年下の男性に出会ったそうだ。
「向こうから、『連絡先を交換しましょう』と言ってくれて、そこから2回ほど食事をしました。でも、3回目のお誘いがこなかった。私は、自分から動くタイプではないので、結局自然消滅的に終った感じです」
「“自分からは動くタイプではない”と決めつけずに、動いたらよかったんじゃない?」とアドバイスすると、「よかったけど、こちらから動きたくなるほどではなかったんです」と言う。
若いときにチヤホヤされてきた女性たちに言いたいのだが、30歳を超えて“待ち”に徹していたら、決して選ばれることはない。いいと思った人が現れたら、“どうしたらその相手に気に入ってもらえるのか”を考えて、自らへりくだって、相手の気持ちをつかむような行動をしていかないと、選ばれないのだ。
経歴も見た目もいいのに結婚できない
この男性バージョンもいる。アラフォーで高学歴、高年収、そして、見た目も悪くない。女性からの申し込みは多いのだが、理想が驚くほど高い。できれば、20代の女性と結婚したい思っていて、自分と同世代の女性から申し込みが来ても、見向きもしない。
あきのり(41歳、仮名)は、婚活歴1年半になるが、そのタイプで、入会面談のときにこんなことを言っていた。「できれば27歳の女性と結婚したいんです」。
なぜ27歳にこだわるのか聞くと、こう答えた。
「27歳という年齢は、女子特有の幼稚さからも卒業していて、女性として一番輝いている年齢だから」
“それは、独自目線の思い込みではないですか?”と指摘したのだが、本人は聞く耳を持たなかった。ただ、見た目もスペックもいいので、婚活をスタートさせると、たまに20代の女性ともお見合いができた。だが、見合いはできるものの、女性たちからは「ジェネレーションギャップを感じました」と断わられることが続いた。
そこで現実がわかったのか、30代女性ともお見合いをするようになった。しかし、交際に入ったとしても、マメにLINEをしたり、デートに誘ったりしないので、2、3度会うと交際終了になっていた。
どんなに美人でも、どんなにハンサムでも、どんなに経歴がよくても、どんなに年収が高くても、婚活においては、積極的に動かない人は結婚までたどり着けない。
婚活の出会いは、人柄を知ってから恋愛に発展する生活圏内の出会いとは、性質が違う。お互いのことを知らない男女が、プロフィールを見て“この人となら結婚が考えられるかもしれない”と思った相手に出会っていく。出会った時点で、相手の住んでいる場所、仕事の業種、年収、家族構成、趣味などはわかっていても、人柄がわかっていない。
コミュニケーションを取らなければ、人柄を知ることはできない。人柄を知らなければ、好きという気持ちは育たない。だから、動くことが最も大切なのだ。
恋愛経験がない人が婚活で結婚するには?
こんなタイプもまた婚活苦戦組だ。
学生時代に異性に興味があったとしても、恥ずかしくて声をかけることができず、そのまま社会に出てしまった。そして、異性に声をかけることのハードルがさらに高くなり、恋愛経験がないままに年を重ねている。
そうした人たちが、30代、40代になって、“結婚相談所に入れば、結婚できるだろう”と入会してくる。なぜ相談所なのかといえば、そこに登録をしているのは、“結婚をしたい”と思っている男女たち。登録すれば結婚できるに違いないと考えるからだ。
ただ、人を好きになる感情や恋愛をしていく熱量というのは、人によって持ち合わせている量が違う。
恋愛をしてこなかった人で、恋愛への熱量が少ない人は、月に1回お見合いが組めたとすると、そこで満足してしまう。先日面談にやってきたともや(45歳、仮名)もそうだった。
「大手の相談所で8年間婚活してきたのですが、なかなか結果を出せなかったので、仲人型の相談所に移ったほうがよいのではと思いました」
そこで、それまでどんな活動をしてきたのかを聞いてみた。
「1、2カ月に1回くらいは、お見合いしてきたのですが、相手から断られることが多かったんです」
さらに掘り下げて聞くと、交際になっても、そこで次に会う約束をせずに2、3週間放置していることがわかった。
「一度、お見合いから交際に入って、“いいな”と思った女性がいたんですけど、ちょうどそのとき親父が病気で入院してしまって。病院に行くのが忙しくて会う時間が作れないでいたら、女性からお断りが来ました」
親が病気やケガで入院したために、婚活が思うようにできなくなったことを理由にする中高年は多い。しかし、入院しているのは親で、婚活者ではない。病院に毎日見舞いに行くわけではないし、たとえ毎日見舞ったとしても、滞在時間はせいぜい2、3時間程度だろう。それが休日ならば、その前後で交際になった人とのデートの段取りが組めるはずだ。
先ほども記したが、婚活にとって大事なことは、それまで違う領域で生活していた2人が出会うのだから、お互いを知っていくこと。そのためには、密にコミュニケーションを取らなくてはならないのだ。
さらに言うなら、婚活で一番テンション高くなっているのは、お見合いから交際になった瞬間だ。そこから、何日も連絡を取らないでいれば、テンションは下がってしまう。人間関係ができあがっていないときに、いったん下がったテンションは、二度と上がることはない。
また、恋愛しないまま歳を重ねてしまった人で、行動をしているのに失敗するタイプがいる。生真面目な性格の人に多く、婚活マニュアルを本やSNSサイトで熱心に学び、その通りに実践をするのだが、相手の気持ちを考えずに、ただただ押しまくる。結果、相手から重たいと思われて、自滅をしてしまう。
行動しているのに結果に繋がらない
ひろみ(33歳、仮名)と交際に入ったしんたろう(37歳、仮名)が、まさにそんなタイプだった。あるとき、ひろみからこんな連絡が来た。
「LINEを交換した日から、朝、晩と1日2回のLINEが来るんです。朝は、決まって8時、夜は10時の定期便です。朝のLINEは『おはようございます。今日もがんばりましょう』程度の短いものだけど、夜のLINEは、その日1日にあったことをツラツラと日記のように長く書いてくるんです。読むのも大変だし、1日のできごとを報告されても、『ああ、そうですか』くらいしか、返事ができなくて困っています」
さらに、こう続けた。
「LINEって、もらった分量と同じくらいの量を返さないと悪いかな、という気持ちが働いてしまう。毎晩くるLINEがとても苦痛です。週末に、交際に入って初めてのデートをするんですけど、もうそれを終えたら、交際終了にしようと思います。こんな気持ちで、夜の食事に出かけるのは苦痛なので、昼間にどこかで軽くお茶でもして、終わりにしたいです」
「密なコミュニケーションは大事」だと、私も会員たちには言っている。「婚活を成功させるには、毎日のLINE、最低でも週1回は会えるようにしましょうね」と。
ただ、ここに付け加えると、これは婚活がうまくいくためのアクションにすぎない。こうしたアクションを起こしながらも、今相手の気持ちがどこにあるのかを探っていくことが大事なのだ。相手がこちらを向いていないのに、ただただ前向きな行動をしても失敗につながるだけだ。
とはいえ、行動している人は、行動していない人よりも、結婚できる確率は高いだろう。最終的に、男女は相性だ。プライドが高く、待ちに徹している人は永遠に結婚できないが、失敗を繰り返しても、あきらめずに行動を起こしている人は、自分を受け入れてくれる相手に出会えたら、それが結婚に繋がっていく。
今、婚活に苦戦している人たちは、これまでの婚活状況を冷静に見直して、どうした自分が結婚できるのか、その方法を見出すとよいのではないだろうか。
(鎌田 れい:仲人・ライター)